幸福な日々 #1 1話「同棲」6,349 character(s)13 mins エージェント×レオンの肥満化不定期連載小説です レオンと付き合って恋人になったエージェントがレオンを太らせるお話。肥満化モノです 今回は同棲するまでですが、次回からは本格的に書けたらなと思ってます、更新遅いかもしれませんが気軽にお待ちください
追記(2023.2.22) ブクマ数10なりました!読んでくださりありがとうございます
ポップン エジェレオ エージェント レオン 腐向け R-15 肥満化 男の肥満化 8 12 588 February 1, 2023 4:36 PM 日本語 僕が彼と付き合い始めたのは丁度2ヶ月前だった。まだ寒い冬の日に海の見える綺麗な所でレオンに告白されたのがきっかけだった。レオンは泣きながら、何かに縋るように付き合ってくださいとだけ言ってきたので、僕でよければと返事を返すと余計に泣いて抱きつかれたものだった事を思い出す。僕は前々からレオンが好きだったし、正直に言うと彼が欲しくて堪らないくらいだったのでレオンの方が告白して来て本当に嬉しかったし、付き合ってからもほぼ毎日会っていて、とても幸せだった。レオンは割とあっさりしていると言うべきか、まだ友達という関係だった頃と接し方や態度は変わってなくて、本当に付き合っているのか疑問になるくらいではあったが、時折抱きついたりだとか、接吻くらいならレオンの方が求めてきたので、その温もりを堪能した。恋人の温もり、永らく求めていたものだった。それを、やっと手にした、手にしてしまった。
付き合ってからの時間の流れはとても早くあっという間に4月になって、桜が満開になる季節へと変わり、程なくして僕の誕生日がやって来た。いつも誕生日は一人で、それどころか自分ですら忘れてしまうのが多かったが、この年は久しぶりに人に祝われた。それも、愛する人に。レオンはぎゅっと抱きついて、そのまま手を握ってきた。 「ハッピーバースデー!エジェ!おめでとう!」 「あぁ…ありがとう…」 人に祝われる事なんてもう覚えていないくらいなかったのもあり、少し気恥ずかしかったがレオンは盛大に祝ってくれた。ニコニコとした天使の様な笑顔で。 「ねぇエジェ、そういえばボクらもう付き合って2ヶ月くらいだよね?」 「あぁ…そうだな」 本音を言えばもうそんなにか、と思ってしまう。この2ヶ月間、接吻やハグなどはしていたが、一緒に風呂に入るとか、寝るとか、そういう事すらした事がなかった。原因としてはレオンがそういうのに疎いのと、また嫌悪感を持っていたからだが、まぁ付き合えば出来ると思っていた。出来なかったから今に至るが。 「エジェ、どうしたの?」 レオンにそう言われハッとなり、顔を上げる。 「いや、なんでもない」 なんでもない、そっちの方が彼にとっても良い。この劣情も、内なる慾望も全て納めておいた方が、幸福だと、そう思っていたが。 「ねぇエジェ…折角だしさ、同棲しない?」 何を言うのかと、思わず飲んでいた珈琲を吹き出してしまった。同棲、この二文字が脳内を駆け巡る。愛し合っているのなら、共に住まうことは何もおかしく無いだろう。ただレオンにとって僕らの関係というものは、所謂精神的恋愛プラトニックなものであり、肉体的な恋愛というものをしないものであった。それに対し僕が求めているのは、それこそ互いの身体を交える愛、そういうものであった。分かりやすく言えば、彼は自分を弄ぼうとする男に、自ら身を投げようとしているのだ。こんな、汚らしい思考と嗜好の男に。 「なんで…急に……」 「この前クラブでさ、付き合ってる事自慢してたら一緒に住んでないのかって言われて、住んでないって答えたら笑われたんだよね」 「…それで」 「どうせ毎日会ってるならいっそのこと同棲したらってなって、まぁボクもそろそろ新居欲しいなって思ってたし、どうせならエジェも一緒に…って」 「…本当にいいのか?」 「全然大丈夫だよ、ボク達恋人同士でしょ?」 「いや、それもあるが、新居とか…」 「あっソレ考えてなかった、どうしよ」 新居考えずに同棲は考えていたのか、と少し呆れる。別に彼と共に居れるのならばどこでもよかったが…もしも、良いのなら。 「なぁ、僕の家に来ないか?」 「エジェの家?」 「あぁ…僕の家、結構広いからさ、レオンの部屋に出来るとことかあるし」 「…本当にいいの?」 「恋人同士だろう?君が言ったじゃないか」 そう言うとレオンはパァッと顔を明るくして、僕の手を取りながらニコッと笑った。 「じゃあ…よろしくね!」 「あぁ…」 彼の、何も知らないただ歓びの笑顔を見て、少し申し訳ない気持ちになってしまった。彼からの同棲の誘いは、僕にとって思わぬ誕生日プレゼントとなってしまった。
引っ越しは数日後に行われた。レオンの服や私物はかなり多かったが、それも全て空き部屋に置く事が出来たし置いてみるとわりと余裕があったくらいだ。 「エジェの家って広いねぇ、組織から貰ったんだっけ?」 「まぁ、そうだな。別にマンションでも良かったがこれくらい必要だろうと」 「まぁボク来ちゃったしねぇ」 何か自慢げな、嬉しそうな顔で笑うレオンに、思わず此方も笑ってしまった。今まで一人暮らしで何をするにしても一人だったので、人が常に一緒に居るというのは妙な感覚だ。だがレオンとは日中は常に一緒だったし、共に居る時間も長いのでそこまで違和感はない。ただ、物理的な距離が限りなく近くなっただけだ。それだけが、懸念事項だった。 レオンとの同棲初日はそこまで何かあるわけでは無かった、と思いたい。その日はレオンの方はクラブが無く、僕の方も長期休暇で無かったのでとりあえず日中はダラダラと過ごしていたが、夜は少し危険だったかもしれない。それは風呂の時だった。 「ねぇエジェ…お風呂入ろうよ、一緒に」 「風呂?」 「うん、ボクらさ、一緒に入った事なかったじゃん」 「…レオンが先に入りなよ」 「え〜?入ろうよぉ」 「わかったよ、洗ってあげるよ」 「へへ、ありがと」 何故かウキウキなレオンと風呂に入る事になり、僕は恋人の裸というものを初めて見てしまった。レオンはいつものカメレオンパーカーとズボンを脱ぎ、下着の方も下すとそれは青白い肌の、肋が浮いた身体が出てきた。手足が枝かと思うくらい細くて、ちょっと掴んだだけでも折れてしまいそうだ。腰もくびれてはいるが内臓が入ってるのかどうか心配になる程肉が無い。思わずギョッとしてしまった。 「レオン……」 「エジェの方すごいね、筋肉ゴツゴツ」 僕の割れた腹筋を撫でる手も、骨と皮だけかと思うくらいに細く、冷たい。筋肉の多い僕と大違いだ。 「レオン、細過ぎだろう…ご飯しっかり食べてるのか?」 「食べたじゃん、エジェの作った晩御飯」 「…普段だよ」 「えー?別にまぁいらない日とか忙しい日はカロリーメイトとかで済ませてたけど」 「え…」 「あっ普段はお弁当とか、冷凍のやつとか食べてるもん!おやつだってそこそこ食べてるし…」 「その割には細すぎだ、骨張っているじゃないか」 「そんな事よりさ、お風呂入ろうよ〜お湯冷めちゃうよ」 それもそうだと、仕方なく浴室に入る。シャワーの温かな湯を浴びるとレオンの肌の白さは、より顕著となる。蒼い血管が透けてしまう程に色の白い、透明感のある肌は美しさはあれど、僕としては少し不気味に感じる。 「なぁ、流石にこれは栄養足りて無いんじゃないか?」 「だって、細い方がお洋服似合うし、おしゃれできるし」 「でも栄養摂らないと病気になるし、心配だよ」 「え〜じゃあエジェが何か作ってよ、栄養あるやつ」 唇を尖らせながらレオンはそうポツリと呟く。レオンはきっと、単なる我儘のつもりで言ったのだろう。付き合う前からも度々僕が手料理を振る舞っていたし、レオンも僕が料理が得意な事は知っていたから。それに付き合った後からも料理は決まって僕が作っていたし、夕食も僕だった。そんな僕なら何かしら作るだろうと思って言ったのだろうが、僕にとっては何か、やましい事のように感じた。いけない事を頼まれているような、そんな感覚であった。 「僕が作っていいのか」 「うん、ボクより美味しいの作れるしさ、お願い」 手を合わせておねだりするレオンの、甘えを顰めた声に乗せられて、というか、仕方ないなと思ってしまい、その顔を上げさせる。 「わかったよ、明日から美味しいのいっぱい作ってあげるから。その代わり、残したら怒るからね」 「本当…!?ありがとう!絶対残さず食べるよ」 そうニッコリ笑うレオンの、浮き出た肋を見ながら僕は何か昏い、熱く穢れたものを感じ取った。恋人に毎日食事を作る約束を取り付けただけなのに、その事に劣情の様な、それに近いものを感じた。 …まさか、あんなことになるとは思いもよらなかった。